むずかしい値動きを、やさしい言葉で。
Today's Market
Market Snapshot — 主要指標
31日の東京市場、日経平均株価は前週末比737円05銭安の6万5,668円51銭で取引を始めた。前週末28日の米国市場でFRB議長ウォーシュ氏がジャクソンホール会議の講演でインフレ抑制を重視する姿勢を強調し、9月の追加利上げ観測が急速に強まったのが直接のきっかけだ。米長期金利の上昇を受けて週末にかけて米国のハイテク株は売られ、フィラデルフィア半導体(SOX)指数は前日比3.47%安、エヌビディアも同4.5%安と崩れた。この流れがそのまま週明けの東京市場に持ち込まれ、前引けにかけて日経平均は下げ幅を拡大。一時は前週末比1,500円超安い水準まで売られる場面もあった。
下げを主導したのは、日経平均への寄与度がもともと大きい値がさの半導体関連株だ。アドバンテスト(6857)は前週末比4.56%安の3万3,660円まで売られ、この1銘柄だけで日経平均を約535円押し下げたと伝えられる。東京エレクトロン(8035)も朝方は大きく値を下げたが、後場にかけて買い戻しが入り、終値では前週末比0.48%安の5万5,960円まで下げ幅を縮小した。財経新聞の寄与度ランキングによれば、アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄だけで日経平均を約721円押し下げた計算になるといい、指数全体の下落幅の大半をこの2銘柄で説明できてしまう一日だった。
もっとも、この急落は長続きしなかった。後場に入るとキオクシアホールディングスやフジクラなど値下がりしていた銘柄への押し目買いが入り、日経平均は下げ幅を急速に縮小。結局、終値は前週末比93円63銭安の6万6,311円93銭で取引を終えた。前引け時点の下げ幅が1,043円96銭だったことを踏まえると、後場だけで950円近く戻したことになる。皮肉なことに、同じ東京市場でも東証株価指数(TOPIX)は前週末比9円58銭高の4,156円29銭とわずかにプラスで終えている。日経平均とTOPIXでなぜ符号が割れたのか、その理由は「きょうの用語解説」で扱う。
半導体関連株が軒並み売られるなかで、同じ「AI関連」に分類されることが多いソフトバンクグループ(9984)は前週末比3.75%高の5,423円と逆行高となった。半導体の製造装置・検査装置メーカーであるアドバンテストや東京エレクトロンが米利上げ観測による半導体需給・設備投資鈍化懸念を直接受けたのに対し、ソフトバンクグループは英半導体設計大手アームやOpenAIなどへの投資会社としての性格が強く、金利観測よりも投資先企業の評価額に業績が左右されやすい。本日単独の明確な値上がり材料は確認できないが、値がさの半導体製造装置株が売られる一方で同じテーマの投資会社株には買いが入るという、「AI関連株」と一括りにできない値動きの分かれ方が見えた一日でもあった。
ドル円は東京時間159円90銭前後で推移し、一時160円台を回復する場面もあったが上値は重い。ビットコインも週末の7万9,000ドル台から7万7,000ドル台へ押し戻されており、株式市場の半導体株安・利上げ警戒とほぼ同じ方向で、リスク資産全般にやや慎重なムードが広がった週明けだった。来週にかけては9月5日発表予定の米雇用統計がドル円の次の焦点になるとみられている。
Movers — きょう大きく動いた銘柄・資産
FRB議長ウォーシュ氏のジャクソンホール講演でタカ派姿勢が強まり、週末の米国でSOX半導体指数が3.47%安となった流れを引き継いで売られた。日経平均への寄与度が最大の値がさ株で、この1銘柄で指数を約535円押し下げた。
アドバンテストと同様に米半導体株安を受けて朝方は大きく下げたが、後場の押し目買いでほぼ下げ幅を消した。
半導体製造装置株が売られるなかでの逆行高。本日単独の明確な材料は確認できず、投資会社としての性格の違いや値がさ株物色の巻き戻しとの見方にとどまる。
きょうの用語解説
日経平均株価は225銘柄の株価を(一定の調整を加えつつ)単純に平均する「価格加重平均」型の指数で、株価の水準そのものが高い銘柄=いわゆる「値がさ株」ほど指数への影響力が大きくなる。31日はアドバンテストと東京エレクトロンという株価水準の高い半導体2銘柄だけで日経平均を約721円も押し下げたと計算されており、この2銘柄の下落が指数全体の値動きのほとんどを説明してしまった。一方、東証株価指数(TOPIX)は「時価総額加重平均」型の指数で、重みを決めるのは株価の水準ではなく、株価×発行済株式数で計算する時価総額の大きさだ。アドバンテストと東京エレクトロンの値下がりがTOPIXに与えた影響は相対的に小さく、他の値上がり銘柄がそれを打ち消した結果、TOPIXはプラスで終えた。
この「同じ市場・同じ日なのに指数の符号が割れる」現象は、日本株ではしばしば起きる。日経平均は225銘柄という限られた数の、しかも株価水準に偏った加重をするため、一部の値がさ株の急な値動きに振り回されやすい構造を持っている。日経平均に連動する投資信託・ETFを持っている人と、TOPIXに連動する商品を持っている人とでは、同じ日でも実感する損益がまるで違うことがありうる。ニュースで「日経平均が下落」と聞いたときに、それが市場全体の下落なのか、それとも一部の値がさ株だけの下落なのかを区別する視点は、覚えておいて損はない。
きょうのなぞなぞクイズ