むずかしい値動きを、やさしい言葉で。
Today's Market
Market Snapshot — 主要指標
28日の東京市場、日経平均株価は前日比27円49銭安の6万6,104円49銭で取引を始めた。前日27日に前日比130円安で3営業日ぶりに反落した流れを引き継いだ格好だ。ただし相場はすぐに反転する。前日26日夕(日本時間27日早朝)に発表された米エヌビディアの決算に加え、セールスフォースやクラウドストライクといった米ソフトウエア企業の決算も軒並み市場予想を上回ったことを受け、東京市場でも薄商いのなか出遅れていたソフト・AI関連株に買いが広がった。前場終値は前日比550円90銭高の6万6,682円88銭。安く始まった相場としては、かなり大きな切り返しだった。
もっとも午後にかけて上げ幅は縮んだ。この日夜(日本時間)に予定されていた米ウォーシュFRB議長のジャクソンホール会議での講演を控え、思惑的な円高進行への警戒から利益確定売りが出たとみられる(実際のドル円は159円台半ばと大きくは動いていない)。加えて、前日27日にAI向けメモリー価格の上昇観測を手がかりに前日比5%高まで買われていたキオクシアホールディングスが、この日は一転して売りに押された。結局、日経平均の終値は前日比175円64銭高の6万6,307円62銭。プラス圏こそ保ったが、朝方の上げ幅の半分以下しか残らなかった。
個別ではトヨタ自動車が2028年に「レベル2++」の自動運転システムを搭載した市販車を投入すると27日に報じられたことを手がかりに、自動運転関連のティアフォー(593A)がストップ高の1,939円まで買われ、上場来高値を更新した。7月安値からは2倍超という荒い値動きで、決算とは無関係の「自動運転」という一つのテーマが個別株を大きく動かした一日でもあった。
27日の米株式市場は、S&P500種株価指数が前日比0.72%高の7,730.99、ナスダック総合指数が同1.57%高の26,541.35と、ともに最高値圏を更新して取引を終えた。前夜発表のエヌビディア決算が売上高・利益見通しともに市場予想を上回ったことが引き金で、株価は取引時間中に一時10%近く上げる場面もあり、終値でも8%台後半の上昇となった。この1銘柄だけで時価総額が4,350億ドル前後増えたとも報じられており、日本企業1社の時価総額としてはトヨタ自動車を優に上回る金額が一晩で積み上がった計算になる。
指数を押し上げたのはエヌビディアだけではない。同じ27日に決算を発表したセールスフォース(同+21.17%)、クラウドストライク(同+17.60%)、パロアルトネットワークス(同+12.22%)、シノプシス(同+10.89%)など、企業向けソフトウエア(SaaS)銘柄の決算が軒並み市場予想を超えた。業種別ではハイテク(情報技術)セクターだけが唯一プラスで終えるという、かなり偏った相場になった。
一方で食品大手ホーメルフーズは同▲9.28%と急落したほか、モデルナも▲5.81%、タペストリーも▲4.41%安と値を崩した。マクドナルドやディズニーといった生活に身近な銘柄も軒並み小幅安に沈んでおり、S&P500の構成銘柄のうち実際に値上がりしたのは半分に届かなかったとの報道もある。指数だけを見ていると「絶好調の1日」に映るが、その中身はむしろ偏りが目立つ1日だったといえる。
米10年国債利回りは4.67%前後、恐怖指数(VIX)は15近辺と、いずれも落ち着いた水準で推移している。米ウォーシュFRB議長のジャクソンホール会議での講演を前に、為替市場ではドル円が159円台半ばでの小動きにとどまるなど様子見ムードが強い。一方でNY金は前日比0.23%高の1トロイオンス4,664ドルとじわり値を切り上げ、WTI原油もイラン情勢の不透明感を背景に2営業日続伸して1バレル83ドル台に乗せた。株式市場の高値圏とは対照的に、金と原油という「守りの資産」も同時に買われている点は、投資家心理が一枚岩ではないことを示していそうだ。
Movers — きょう大きく動いた銘柄・資産
トヨタ自動車が2028年に「レベル2++」の自動運転システムを搭載した市販車を投入すると27日に報じられ、自動運転関連への物色が加速。ストップ高となる1,939円まで買われ、上場来高値を更新した。
四半期決算が市場予想を上回り、業績見通しも強気だったことを好感。企業向けソフトウエア(SaaS)決算シーズンの主役の一つとなった。
サイバーセキュリティー大手の決算が予想を上回る増収増益となり、成長鈍化懸念が後退したとして買われた。
決算が市場予想を上回り、SaaS株全般への買い戻しの流れに乗った。
決算が予想を上回り、セキュリティー関連の他のSaaS銘柄と同様に買われた。
半導体設計ソフト大手の決算が好感され、AI向け半導体設計需要の強さを裏付けたとして買われた。
5〜7月期決算が売上高・利益見通しともに市場予想を上回り、AI投資の勢いが衰えていないことを裏付けた。取引時間中は一時10%近い上昇も。
決算が市場予想を下回ったとみられ、食品セクターの弱さの象徴として売られた。
明確な単独材料は確認できず。ハイテク一辺倒の資金シフトのなか、バイオ・ヘルスケア株全般が資金流出の対象になったとみられる。
きょうの用語解説
27日の米国市場はS&P500が0.72%高と最高値圏で取引を終えたが、構成銘柄の半分近くは値下がりしていたと報じられている。指数がプラスなのに、個別銘柄で見れば「下がった会社の方が多い」——これは矛盾ではなく、S&P500のような主要株価指数の計算方法そのものに理由がある。多くの株価指数は「時価総額加重平均」という方式で算出されており、企業の規模(株価×発行済株式数=時価総額)が大きいほど、指数への影響力も大きくなる。この日はエヌビディア1社だけで時価総額が4,000億ドル超増えており、それだけで指数全体を押し上げるのに十分な影響力を持っていた。一方、ホーメルフーズやモデルナのように時価総額が相対的に小さい銘柄がいくら下がっても、指数への影響はごくわずかにとどまる。
この仕組みを知っておくと、「株価指数が最高値」というニュースの見え方が少し変わる。もし手元のポートフォリオがエヌビディアのような値がさの勝ち組銘柄をあまり持っていなければ、指数のニュースほど恩恵を実感できない日は珍しくない。逆に、指数を構成する全銘柄を均等な金額ずつ持つ「イコールウエイト(等金額加重)型」の指数やETFは、値がさ株1社の影響を受けにくく、「平均的な1銘柄」の実力に近い動きをする。同じ日の同じ指数でも、加重方式が違うだけで「絶好調」にも「さえない一日」にも見えるというのは、覚えておいて損はない視点だろう。
きょうのなぞなぞクイズ