むずかしい値動きを、やさしい言葉で。
Today's Market
Market Snapshot — 主要指標
27日の東京市場で日経平均株価は、前日26日終値の6万6,262円を挟んで神経質な展開となった。寄り付き直後こそ買いが先行したものの、日本時間27日早朝に発表された米エヌビディアの決算内容を消化する過程で伸び悩み、午前中には前日比一時約390円安まで下落する場面もあった。終値は前日比小幅高の6万6,400円前後(概算)と、3営業日ぶりに反発したもようだ。
押し下げ役となったのは、皮肉にも決算の中身そのものではなく、決算説明会での一言だった。エヌビディアは5〜7月期決算で売上高・1株利益とも市場予想を上回る内容を示したにもかかわらず、AIサーバー向けメモリー価格が今後15%超上昇するとの見通しを合わせて示したため、投資家の関心は「AI投資の勢いそのものが、調達コスト増によって鈍るのではないか」という警戒に向かった。地元の株式情報サイトはこの現象を「エヌビディア祭り不発」と評している。
一方でこの「メモリー高」という同じ材料は、東京市場でメモリー半導体大手のキオクシアホールディングスにとっては追い風となった。前日25日終値まで軟調が続いていた同社株には見直し買いが入り、午後の日経平均切り返しをけん引する一因になったとみられる。半導体検査装置のアドバンテストや東京エレクトロンも、朝安から値を戻す展開となった。
26日のニューヨーク市場は、取引時間中はまさに「嵐の前の静けさ」だった。S&P500種株価指数は前日比0.02%安の7,675.70、ナスダック総合株価指数は0.08%安の26,130.20、NYダウ工業株30種平均は0.21%安の53,463.88とそろって小幅に値を消し、方向感に乏しい一日となった。この日発表された米個人消費支出(PCE)価格指数が市場予想をやや上回る伸びとなり、根強いインフレへの警戒が上値を抑えた。
主役はあくまで取引終了後だった。エヌビディアは5〜7月期決算で売上高962.2億ドル(市場予想921.7億ドル)、データセンター部門の売上高は前年同期比117%増の890億ドルと発表。8〜10月期の売上高見通しも1,080億ドル程度と市場予想を上回る強気の内容を示し、株価は時間外取引で一時4%超上昇した。同社株はこの決算発表を前に7営業日続落しており、2022年以来の連続安記録となっていただけに、好決算はまず素直な安心感につながった格好だ。
ただし手放しの楽観一色ではなかった。エヌビディア経営陣がAIサーバー向けメモリー価格の大幅上昇に言及したことで、投資家の視線は翌27日、日本など他市場での反応に移った。米長期金利は10年債利回りが4%台後半で高止まりしており、金利とインフレ、AI投資という3つの綱引きが、決算後の値動きを左右する構図が続いている。
Movers — きょう大きく動いた銘柄・資産
エヌビディアが決算説明会でメモリー価格の大幅上昇に言及したことで、供給過剰懸念が一転、値上げの恩恵を受ける銘柄として見直し買いが入った。前日25日終値からの反発。
朝方はエヌビディア決算後もAI投資の鈍化懸念から売られたが、午後にかけて半導体関連への見直し買いが優勢となり切り返した。
前日16%超の急伸からは伸び悩んだが、エヌビディアの決算・ガイダンスがAI向け設備投資の強さを裏付けたとして底堅い動き。
半導体関連への見直し買いの流れに乗ったとみられるが、単独の明確な材料は確認できず。
5〜7月期決算で売上高・1株利益とも市場予想を上回り、8〜10月期見通しも強気だったことを好感し時間外で上昇。ただしメモリー価格上昇への言及も同時に注目された。
きょうの用語解説
きのう26日付のこの欄では、記憶用半導体(メモリー)の供給過剰、いわゆる「メモリー・グラット」を取り上げた。ところがきょう27日は一転して、同じメモリーが「値上がり」の主役として語られている。エヌビディアが決算説明会で「AIサーバー向けメモリー価格が15%超上昇する」との見通しを示したためだ。わずか1日で正反対の話題が同じ資産クラスをめぐって浮上したことになる。
種明かしは単純で、メモリー半導体はDRAMやNAND型フラッシュメモリーといった品目ごとに、世界で数社しかメーカーが存在しない寡占(オリゴポリー)市場だという点にある。半導体の中でも設計の自由度が低く、汎用品に近い性質を持つため、各社の増産・減産のタイミングが需給を大きく左右する。供給が積み上がれば値崩れが起き(グラット)、逆に需要が急増したり大手が減産に動けば、たちまち品薄・値上げに転じる。エヌビディアのような巨大な買い手が「メモリーを大量に欲しがっている」と一言発するだけで、市場のムードが供給過剰から品薄へと反転しうるのは、こうした構造ゆえだ。
この構図で得をするのは、メモリーを「売る側」であるキオクシアやSKハイニックスのようなメーカーである一方、割を食うのは、メモリーを大量に「買う側」であるエヌビディアや、AIサーバーを構築するクラウド事業者だ。エヌビディア自身が値上げを認めた格好で、好決算の裏で市場が身構えたのはこのためだった。同じニュースでも、業界内のどちら側に立つ企業かによって株価への影響が真逆になる好例と言える。
きょうのなぞなぞクイズ