むずかしい値動きを、やさしい言葉で。
Today's Market
Market Snapshot — 主要指標
24日の東京株式市場は、朝方こそ前週末比37円安と静かな滑り出しだった。ところが後場に入って様相が一変する。キオクシアホールディングスが一時10.9%安の5万5,080円まで急落し、日経平均を強く押し下げる格好となり、下げ幅は一時2,200円を突破した。終値は前週末比1,811円45銭(2.73%)安の6万4,611円15銭と、6日ぶりの大幅反落を記録している。
興味深いのは、東証株価指数(TOPIX)の下げが0.6%前後にとどまったことだ。日経平均は値がさの半導体・AI関連株の比重が大きい株価平均型の指数であるため、キオクシアやソフトバンクグループのような値がさ株が急落すると、指数全体が実勢以上に過剰反応しやすい。見出しの下落幅ほど、市場全体が悲観一色に染まっていたわけではなさそうだ。
もう一人の主役、ソフトバンクグループは一時10%超安の3,502円まで売り込まれ、昨年8月以来の安値をつけた。同社は8月21日の下落局面でもファーストリテイリングと並んで指数の押し下げ役を演じており、金利上昇局面で真っ先に売られる『金利敏感株』としての性格が、この1週間で改めて浮き彫りになった格好だ。
今回の下げの引き金を引いたのは、半導体メモリー株の比率が高い韓国総合株価指数(KOSPI)の大幅安だった。前週末のニューヨーク市場ではNYダウが517ドル高、S&P500・ナスダック総合もそろって0.4%高と底堅かっただけに、週明けのアジア発の売りは米国株の流れとは切り離された、アジア株特有の需給要因の色が濃い。
背景として市場で指摘されているのが、キオクシアの信用倍率の過熱だ。7月時点で36.75倍まで積み上がっていたとされ、好業績見通しを発表してもなお株価が反応しなかった24日の値動きは、業績そのものよりも積み上がった信用買いポジションの巻き戻しという需給要因が優勢だったことをうかがわせる。
こうした神経質な地合いのなか、26日に控えるエヌビディアの決算発表が次の焦点として意識され始めている。週末(8月23日)の記事で触れた通り、今週はイラン新制裁・エヌビディア決算・新FRB議長の初講演という3つの材料が控えており、今日の急落が『買われすぎの一時的な調整』で終わるのか、それとも『AI相場そのものの巻き戻し』に発展するのかは、この決算の内容次第という色彩が強まっている。
ドル円は158円台後半で小動き。株安局面でも極端な円買いは見られず、158.50円〜159円台のレンジ内にとどまった。一方でNY金は前週末比2%超上昇し4,660ドル台に乗せ、週末時点の高値圏をさらに切り上げている。株式からの資金逃避先として、伝統的な安全資産である金の存在感が改めて意識された格好だ。
ビットコインは週末の7万7,000ドル台からじりじりと軟化し、7万7,000ドルを割り込む水準まで下落した。株安と歩調を合わせる形にはなったが、下げ幅自体は限定的で、週末に見せていた底堅さの延長線上にあるとも言える。
Movers — きょう大きく動いた銘柄・資産
決算はほぼ市場予想通りだったにもかかわらず急落。7月時点で信用倍率が36.75倍まで積み上がっていた需給の偏りが、決算内容とは無関係に巻き戻された形。韓国半導体株の急落も波及した。
一時3,502円まで売られ約1年ぶりの安値。米長期金利の再上昇でAI関連の値がさ株全般が売られる中、8月21日の下落局面に続き指数の押し下げ役となった。金利敏感株としての性格が改めて意識された。
世界的な株安を受けたリスク回避の資金が流入し、前週末の高値圏からさらに水準を切り上げた。伝統的な安全資産としての金の需要が改めて意識された。
週末に付けた7万7,000ドル台からじりじり軟化し、同水準を割り込んだ。株式市場のリスク回避ムードに歩調を合わせたが、下げ幅は限定的。
きょうの用語解説
信用倍率とは、信用取引で株を買っている残高(信用買い残)を、株を借りて売っている残高(信用売り残)で割った数値のこと。数値が高いほど『将来、利益確定や損切りで売られる予定の株』が『将来、買い戻される予定の株』に比べて多いことを意味し、一般に倍率が高い銘柄ほど下落局面で値崩れが加速しやすいとされる。
今回のキオクシアのケースでは、信用倍率が30倍を超える水準まで積み上がっていたと報じられている。好業績を発表しても株価が上がらない、あるいは小さなきっかけで急落する銘柄の多くは、業績そのものよりもこうした需給の偏りが主因になっていることが少なくない。決算の中身が『満点』でも株価が売られる現象は、業績だけでなく需給というモノサシも合わせて見る必要があることを教えてくれる。
きょうのなぞなぞクイズ