むずかしい値動きを、やさしい言葉で。
Today's Market
Market Snapshot — 主要指標
21日の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日比750円前後(1.1%強)安の6万5,400円台で取引を終えた。寄り付きから売りが先行して一時900円超安まで下げ幅を広げる場面があり、午前中は押し目買いでいったん下げ幅を縮めたものの、午後にかけて再び売りが優勢になる展開だった。前日20日のニューヨーク市場で長期金利が再び上昇し、主要3指数がそろって下落した流れを、そのまま引き継いだ格好だ。
指数の押し下げ役として名前が挙がったのはファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、リクルートホールディングスの3銘柄。ファーストリテイリングについては、前日の米国市場でウォルマートが既存店売上高の伸び悩みを理由に急落し、消費関連株全般に売りが波及したのと同じ空気を受けた面がありそうだ。業態も市場もまったく異なる2社だが、「小売・消費株」という括りで投資マネーが同じ方向に動いた一日だったといえる。ソフトバンクGとリクルートHの下げについては、これといった個別材料は確認できず、指数寄与度の大きい値がさ株として地合い悪化の影響をまとめて受けた面が大きそうだ。
一方で値上がり率ランキングの上位には、ANAPホールディングス、Def consulting、TORICOといった仮想通貨関連とされる値がさ株が並んだ。前日の海外市場でビットコインが5%近く上昇したことを受けた物色ではないかとの見方が市場では出ているが、個々の急伸の材料までは確認できていない。指数全体は軟調でも、こうした一角には資金が流れ込んでいたのが21日の東京市場のもう一つの顔だった。
20日のニューヨーク株式市場は主要3指数がそろって反落した。NYダウ工業株30種平均は703.84ドル(1.31%)安の52,759.21ドル、ナスダック総合は1.00%安の26,067.17、S&P500は0.69%安の7,655前後で取引を終えた。前日19日には米財務省による長期国債の買い戻し観測が長期金利を押し下げ株式相場を支えたが、その効果はわずか1日で剥落し、米10年債利回りは一時4.71%まで戻した。
個別ではウォルマートの下げが際立った。5〜7月期の既存店売上高が前年比2.6%増にとどまり、市場予想の3.8%増を下回ったことが嫌気され、株価は一時8%超急落した。ガソリン高で家計の財布のひもが締まり、消費者が支出先を選別している実態が数字に表れたとの受け止めだ。この余波でホームデポやシャーウィン・ウィリアムズなど住宅・消費関連株も売られた。半導体株指数SOXも1.2%程度下落しており、ナスダック安は一部のハイテク株だけでなく、金利上昇の影響を受けやすい銘柄全般に及んでいたとみられる。
為替市場ではドル円が158円台後半〜159円で推移し、円安基調が続いている。株安の局面では円が「安全資産」として買われる場面もよくあるが、今回はむしろ米長期金利の再上昇による日米金利差の拡大と、中東情勢の緊迫化に伴う原油高が円売り材料として意識され、教科書通りの「質への逃避」は起きなかった。
その原油はWTI先物が2.33%高の87.83ドルまで上昇した。トランプ大統領がイランへの経済的圧力を強める姿勢を示したと伝わり、供給不安が意識されたためだ。NY金も0.65%高の4,574.70ドルまで値を上げ、ビットコインは5%近く上昇して7万2,000ドル台を回復した。株式が売られる一方で国債も売られて金利は上昇し、金・原油・ビットコインという値動きの性質がまったく異なる3資産がそろって買われる――21日はそんな一風変わった日になった。
Movers — きょう大きく動いた銘柄・資産
値上がり率ランキング上位。前日の海外市場でのビットコイン急伸を受けた仮想通貨関連の物色との見方があるが、個別の材料までは確認できず。
同様に値上がり率ランキング上位に浮上。仮想通貨関連への物色との見方があるが、明確な材料は確認できず。
値上がり率ランキング上位。仮想通貨関連の思惑買いとの観測があるが、裏付けとなる材料は確認できず。
5〜7月期の既存店売上高が前年比2.6%増と市場予想(3.8%増)に届かず、消費減速への懸念から急落した。
ウォルマート安を受けた消費・住宅関連株全般の下げに連れ安した。
同様に消費・住宅関連株安の流れの中で下落した。
きょうの用語解説
株式相場が大きく下がる日には、投資家のお金が国債や円、金といった「安全資産」に逃げ込みやすくなります。これを「フライト・トゥ・クオリティ(質への逃避)」と呼びます。株を売って得た資金で相対的にリスクの低い資産を買うため、国債の価格は上がって金利は下がり、対外的な信用力が高いとされる通貨(円やドルなど)は買われやすくなる、というのが教科書的なパターンです。
ところが21日は事情が違いました。日米の株価がそろって下落したにもかかわらず、米国債はむしろ売られて長期金利は上昇し、円も買われるどころか安いままでした。金利上昇の震源が「財政・インフレへの警戒」だったため、金利が下がるはずの国債買いよりも、金利上昇そのものが株安の引き金になったからです。そのうえ中東情勢の緊迫化で原油高への警戒も重なり、円は「日米の金利差が広がりやすい通貨」として売られる材料の方が優勢でした。代わりに買われたのは、インフレや地政学リスクへの備えとして意識されやすい金と原油、そして値動きの荒さゆえにリスク資産にも安全資産にも分類しづらいビットコインでした。教科書通りの反応にならない日があること自体が、市場が今いちばん恐れているものを教えてくれます。
きょうのなぞなぞクイズ